くるみボタン専門店MiSuZuYa
布や革などで金具を包む(くるむ)ことによって生み出される、ころんとしたフォルムが可愛らしいくるみボタン。MiSuZuYaはそんなくるみボタンを下町で創業から30年以上作り続けている会社です。洋服に付けるボタンだけでなく、ブローチ、ヘアゴム、ロゼット、アクセサリーなど、くるみボタンの可能性を提案しています。 そんなMiSuZuYaが新たにくるみボタン専門店を地元であるおかず横丁商店街の一角にオープンするにあたって、店舗デザインのご依頼をいただきました。
おかず横丁は日本で最古ともいわれる商店街です。古くは戦後間もない頃に職人で賑わった下町の、各家庭の食卓に並ぶおかずのお店がズラリと並ぶ様子からその名前がつけられました。当然お店を出す予定の建物も戦後間もなく作られたもので、水平垂直も出ているか怪しいかもしれない木造の建物でした。今回店舗をデザインするにあたって、MiSuZuYaやくるみボタンの可愛らしい雰囲気を大切にすること、古い建物を出来るだけ傷めずにリフォームすること、その2点を踏まえてデザインを手掛けました。
MiSuZuYaのお店のシンボルとして、看板と開口部に特徴を出すことにしました。もともと建物についていた看板用のテントの骨組みをそのまま活かしながら、新たに木の温もりを活かした看板を造作。MiSuZuYaのロゴを浮いたような仕様で取り付けました。また窓やバックヤード通路などの開口部はヨーロッパの建物のような丸みのあるフォルムを取り入れることで、お客さんが思わず気になって覗いてみたくなるような可愛らしい印象に仕上げました。床は靴で歩いたり、ワークショップで汚れたりしても気にならないようにモルタルを流し込んで施工。壁は従来の構造壁の内側に新しくコンパネという厚めの木材を入れ込んで垂直を出しつつ、中にスライドレールという金具を埋め込みました。これにより商品を展示する棚を壁の好きな場所に付けたり外したり、展示のレイアウトを自由に変えることができるように仕上げています。おかず横丁のシンボルとして、MiSuZuYaがこれからもっとたくさんの人に愛されるお店になりますように。
クライアント : くるみボタン専門店MiSuZuYa
Direction & Design : Mitsuyoshi Kikuchi / Photo by Keiko Hirata